【季節・春 分類・生活】
鼻毛抜く
傍題 鼻毛切る
春になると、新しいクラスや職場での生活が始まる。また、証明写真、記念写真など、写真に写る機会が増える。そこで普段はあまり鏡を見ないという人も、チェックしたいのが鼻毛である。
出ているのが1本や2本なら、それだけを抜けばよい。ピンセットを使わずとも、親指の爪と人差し指の爪をしっかり合わせて勢いよく引っ張れば抜ける。抜くのは自宅にて、しっかり手を洗ってから行うのがよい。出先のトイレ等でどうしても抜かねばならない場合も、手を洗ってから抜くことをおすすめする。細菌やウイルスのついた指で鼻の粘膜をいじるとたちどころに風邪を引くためである。もちろん、抜いたあとも手を洗っていただきたい。
何気なく上むき気味に鏡を見ると、けっこう鼻毛が伸びていることに気づくことがあるだろう。そういうときに鼻毛を抜くと、7、8本一気に抜けて驚く。右の鼻の穴からそれだけ抜けてしまうと、少し面白くなって、左の鼻の穴からも7、8本抜く。しかし、あまり繰り返すと鼻の内部の皮膚が傷つく上に、鼻毛を失うことで悪いものが鼻から侵入しやすくなるので気をつけなければならない。
全体的に鼻毛が伸びているときは、抜くよりも切った方がいい。巷には鼻毛切り鋏という代物があり、インターネットで見ると1000円前後。鼻の中を傷つけないように、刃の先が丸くなっている。電動の鼻毛カッターは3000円程度。先日ヴィレッジヴァンガードに行ったら、鼻毛用のブラジリアンワックス的なものまで売られていた。私が鼻毛を切るときに使うのは、眉毛切り用の鋏だ。刃先が鼻の穴に入りさえすれば切れはするが、さすがに文房具の鋏で切るのは難しい。鼻毛を切ったあとの鋏は、洗うか丁寧に拭くようにし、抜いた鼻毛や切った鼻毛は、床に撒き散らしたりせずティッシュに包んで捨てるよう心がけている。
どうも、女性より男性、若者より年配の人の方が、鼻毛が伸びる傾向にあるようだ。鼻毛が出ているからといって性格や能力が変化したりはしないが、向き合って話す際に相手の視線がつい鼻毛にいってしまったり、その人を思い出すときにまず鼻毛を思い出したりしてしまうことがある。鼻毛を顔面の売りにするというのでないのなら、毎朝10秒チェック。身だしなみを整える心にこそ、春が訪れる。
〈例句〉
タンメンの湯気ほがらかに鼻毛抜く 佐藤文香
なら我も鼻毛切る手を止めて歌ふ